九州大学 伊藤幸司教授 × 八尋由紀社長
目から鱗の連続!中世の博多にタイムスリップ

貿易を通じて勢力を伸長させた大内氏
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八尋
大内氏の力の源泉は?
伊藤教授
なんと言っても貿易をバンバンやって儲けていますから。中国とも朝鮮とも琉球とも貿易を行っていました。この三者と取引をしていたのは大内だけです。
八尋
積極的に海に乗り出して行ったんですね。
伊藤教授
大内氏は自分たちの先祖は朝鮮人だと公言していましたからね。しかも、朝鮮に対して直接言っています。「俺たちは百済の王の末裔だ。だから、朝鮮の土地をくれ」って。外国に対してこういうことを言うというのは、ちょっと変わっていますが。
八尋
対外貿易を盛んに行っていたということは、中国地方って資源がいっぱいあったのかしら。
伊藤教授
いっぱいあったんです。銅や鉄が採れますからね。さらに石見銀山も開発していきます。だから、このころの山口はすごく栄えていたんですね。大内が造ったすばらしい建物や庭園なんかがその名残りです。かつてはこの地が、博多を含む広域地域の政治的中心地だったわけです。
八尋
大きな力をもっていた割に、大内氏は、戦国大名のなかでもマイナーなような・・・・・・。


伊藤教授
戦国大名と言うと、上杉だ武田だという話になりますが、大内は彼ら以上に日本の歴史全体に影響力を及ぼしています。しかし、悲しいかな、大内氏は信長、秀吉、家康のサクセスストーリーにいっさい関わらなかった。その前に毛利に滅ぼされてしまうんです。私は大内氏も研究しているので、大内がもっと注目されてもいいと思っているのですが、知名度は低いままです。
八尋
大内を滅ぼした毛利も九州に進出してきたのでは?
伊藤教授
毛利はポスト大内の座を狙って博多にも進出するんですけど、大友が撃退します。その後の北部九州の支配権は大友が握ることになります。