ギャラリー モリタ 森田俊一郎 × 株式会社TODOROKI 井上雅也 × MIC工房 前田勝利 × 八尋由紀社長
アートを合言葉に踏み出すSOGOの新たな一歩

企業が文化を振興するということ

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前田さん

私が転勤で来たころは、福岡市には美術館がなかったんですよ。当時の美術館と言えば久留米の石橋美術館。そこで青木繁の『海の幸』を観たときに、体に電流が走りました。「こんな世界があるんだ」と、感動したことを覚えています。

八尋

現在の久留米市美術館ですね。筑後や筑豊には大きな産業があった。そして、そこで発展した企業が、メセナとして文化を支援するという豊かな時代があったんですよね。博多の場合は、おもてなしビジネスで終わってしまって、文化を残すという点では、継続的な取組みがなかなか実現していません。

森田さん

自分の懐が潤えばいいというのではなく、世のために私財を投じて文化の振興に尽くした方々の名前は、いまも語り継がれています。石橋美術館をつくったブリヂストンの石橋正二郎もそうですし、阪急グループの創業者、小林一三もそうですね。経済的な豊かさだけを追い求めるのではなく、文化の厚みを育てる。そんな企業や経営者がもっと評価される社会であってほしいと思います。だって、そうじゃないと美しい世の中じゃないでしょう。

八尋

先日、静岡県の清水のフェルケール博物館を訪れる機会がありました。正式名は清水港湾博物館ですね。港湾に関する歴史博物館のほか、アートを展示するスペースもあります。このミュージアムを創立したのは、鈴与の会長を務めた鈴木與平さん。こんなふうに、ゆっくりと文化を醸成していく環境がある、清水の港は豊かだなと感じました。実は、清水港って博多港と地形が似ているんです。清水港みたいに博多港でも、港湾の重要性をアピールしつつも、アートを応援する試みを具体化して、地域に貢献していきたい。

森田さん

その八尋さんのお気持ちを、僕は美しいと思います。だからこそ、井上さんと一緒にチームの一員として協力していきたい。アートコレクターの方々は、実はとても謙虚なんです。アートを自分だけのものとは考えていない。人類の財産として後世に伝えていかなければならないという使命感を持っています。その謙虚な気持ちが、芸術文化の発展を支えることにもつながっていく。同じような思いが八尋さんの中にもあると、僕は感じています。

八尋

八尋家の成り立ちからたどっていくと、文化を守り繋げるDNAみたいなものが自分にはあるはずなんです。博多湾岸エリアをアートの力で再生するというプロジェクトもその一環ですが、結果的に、博多ならでは、福岡ならではの豊かな文化の空気感を醸成していけたらいいですね。